hiv
HIV・エイズ
HIV・エイズとは
HIVは「ヒト免疫不全ウイルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)」というウイルスの名称です。HIVに感染すると次第に免疫力が低下し、通常であれば感染しないような病原体にも感染しやすくなります。
ウイルスは精液や膣分泌液、血液などに存在し、これらとの粘膜接触(口や性器同士の接触)によって感染します。しかし、感染力自体は高くないので、感染者との日常生活で感染することはほぼありません。また、きちんとコンドームを装着することで、性行為による感染も十分に防ぐことが可能になります。
「HIV」と「エイズ」の違い
HIVとエイズは混同されやすいですが、HIVへの感染とエイズの発症はイコールではありません。HIVはウイルスの名称であり、それへの感染を放置することで発症するのがエイズです。
HIVに感染しても、多くの場合しばらくの間は何も症状が現れません。しかし、この状態でも体の免疫力は徐々に低下していきます。HIVへの感染による免疫力の低下が進むとさまざまな感染症や合併症に感染しやすくなります。この状態を「エイズ(AIDS:Acquired Immuno-Deficiency Syndrome、後天性免疫不全症候群)」と呼びます。
症状
HIVへ感染すると体の免疫力が徐々に低下していきます。症状の進行度によって以下のように分けられます。
感染初期(感染から2~4週間)
感染から2~4週間ほど経つと風邪・インフルエンザに似た症状が現れることがあります。多くの場合、これらの症状は数週間程度で軽快します。
- 発熱
- のどの痛み
- 筋肉痛
- 全身の皮疹
- 倦怠感
- 体重減少 など
無症候期(5~10年)
感染初期を過ぎた後は、とくに何の症状も出ない期間が5~10年ほど続きます。自覚症状はないもののHIVは体内で増え続けており、免疫力は徐々に低下していきます。
エイズ発症期
ある程度まで免疫力が下がると、さまざまな感染症(日和見感染症)や悪性腫瘍、神経障害などにかかりやすくなります。無症候期から発症期までの期間には個人差があり、2年で症状が出る方もいれば、15年経っても変化がない方もいます。
エイズによる症状は多様ですが、代表的な症状としては急激な体重の減少、激しい寝汗、長期間にわたる下痢などがあげられます。
なお、エイズ発症期を判断する指標となる疾患がいくつか存在します。これらのうちどれか1つでも発症したらエイズ発症期と判断されます。
感染経路
HIVの感染経路としては、主に以下の3つがあげられます。なお、HVI自体の感染力は弱いため、感染者との日常生活程度で感染することはありません。
性行為による感染
HIVの感染経路として最も多いのが性行為による感染です。HIVを含んだ精液・膣分泌液・血液との粘膜接触によって体内に入り込むことで感染します。他の性感染症(性病)が原因で性器に傷・炎症などがあると、HIVへの感染のリスクが高まりますので注意が必要です。
血液感染
HIVを含む血液が体内に入り込むことで感染します。代表的な例としては、注射器の連続使用(回し打ち)などがあげられます。
なお、現代の日本の医療機関では、注射針は使い捨てのものを使用しておりますので、注射針の使い回しによる感染が起こることはありません。また、輸血される血液も厳重な検査を行っておりますので、輸血によるHIV感染の可能性はほぼありません(ただしゼロではありません)。
母子感染
HIVは母子感染を起こすので、妊娠中や分娩時に赤ちゃんがHIVに感染するリスクが存在します。また、母乳にもHIVが含まれますので、授乳によって感染することもあります。
事前にHIVへの感染が分かれば、妊娠・出産前の治療と予防によって母子感染を防ぐことが可能です。
潜伏期間
2~4週間
診断・検査
問診によって症状や感染原因などを伺った後、血液検査によって感染の有無をチェックします。
治療
抗HIV薬の内服によって治療します。専門医による治療が必要となりますので、HIV感染が疑われる場合には適切な医療機関をご紹介させていただきます。
HIVに感染しても悲観的にならないでください
医療技術の進歩により、現在ではHIVに感染してもエイズの発症を抑えることが可能になっています。体内からHIVを取り除くことはできませんが、いつも通りの日常生活を送りながら、普通の病院で診察を受けることも可能です。
HIVへの感染が疑われても過度に悲観的にならず、適切な治療を受けることが重要です。